日本人ならきっとほとんどの人が聞いたことのある「英検」。
この記事では英検準1級の試験の概要から難易度、学習時間の目安や費用までを一挙にまとめてみました。
ものすごく情報量があるので、興味のあるところを目次をつかって拾い読みしていただけたらと思います。
Contents
この記事のダイジェスト
- 英検準1級は大学中級レベルの英語力の証明。TOEICだと730点レベル。
主に英語が得意科目の高校生から、ビジネスで英語を必要とする社会人まで、幅広い層の人に向いてます。 - 試験は年3回。
合格率は1次試験で受験者の15%前後、2次試験で85%前後なので、1次対策が重要! - かかる費用は受験料も含め独学だと1、2万円程度。
難易度が上がるので、基礎に不安がある人は問題集とオンライン教材の併用がベスト。 - 問題集の他、英検ネットドリルやスタディサプリ ENGLISHが有効。
英検準1級の概要
英検準1級のレベル・難易度
英検準1級は「大学中級程度」のレベルとされています。
要は大学の教養課程が終わったくらい、というイメージですね。
キーワードは「社会生活で求められる英語」。
いっぱしの社会人としての英語力を証明するためのテストといえるでしょう。
読む、書く、聞く、話すという4技能が問われることは1級や2級と変わりません。
英検協会のサイトにはこうありますのでご参考まで。
準1級は、最終目標である1級の手前まで着実に力をつけているレベルで、およそ大学中級程度とされています。
社会生活で求められる英語を十分理解し、また 使用できることが求められます。
入試優遇や単位認定はもちろん、教員採用試験に優遇されたり、海外留学にも多方面で幅広く適用される資格です。
試験内容は、一次試験(筆記とリスニング)と二次試験(面接形式のスピーキングテスト)に分かれています。
試験日程
英検準1級の試験は年3回行われています。
- 6月(2次試験は7月)
- 10月(2次試験は11月)
- 1月(2次試験は2月)
なお、英検にはダブル受験という制度があり、隣接する級(1級または2級)と同時に受験できます。
1回やったことがありますが、結構ヘトヘトになります・・・。
気合がのっているときにはおススメです笑
受験料&申し込み方法
まずは受験料から。
・検定料:6,900円
※2級までと異なり、準会場での受験はありません。
申し込み方法は個人・団体で異なります。
またインターネット、書店など、窓口もいろいろなのでHPから自分にあった申し込み方法を選びましょう。
おススメはやはりインターネット申し込み。締め切りも長いし、英検IDを入手すれば合格通知も早くみられるので。
いずれにせよ、ざっくり言うとこんな感じ。
- 受験申込み&受験料払い込み
- 一次受験票到着
- 一次試験
- 一次試験の結果&二次受験票(合格の場合)到着
- 二次試験
- 合格!
という流れになります。
ちなみに、英検は3級以上なら海外でも受験可能です。
イギリス(ロンドン)・アメリカ(ニューヨーク・ロサンゼルス・ホノルル)に会場があります。
試験日や受験料、申し込み方法が国内の場合とはちょっと違うので、これもHPで要確認ですね。
英検HP https://applyab.eiken.or.jp/
出題範囲・試験時間・合格水準
- 出題範囲:大学中級レベルの内容(詳細は以下)
- 試験時間:筆記90分+リスニング約30分の合計約120分
- 合格水準:一次試験は英検CSEスコアで1,792点以上、二次試験は512点以上
まず出題について。詳しく見ると以下の図のとおりです。
(画像出典:https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_p1/detail.html)
試験時間は筆記90分と長いように思えますが、ライティングでハマったりするとあっという間に時間がなくなるので油断できません。
最初の語彙・文法問題をいかに早くこなせるかがひとつのポイントです。
また、リーディングもそこそこ長いものが出題されますので、1分あたり100語くらい読めるように練習しておくといいですね。
合格水準ですが、昔はとにかく全問題数の70%くらいを正解すれば合格!となっていました。
ところが今は上記のCSEスコアによる判定となり、一律で何問くらい正解すれば合格というのがわかりにくくなっています。
また、リーディング、リスニング、ライティング、そして二次のスピーキングそれぞれでスコアがあるので、どれかを捨てるというわけにもいかなくなっていることも知っておいたほうがいいでしょう。
【合格の目安について】
そうはいっても目安を知りたい!というお声もあるかと思いますので、あくまで主観ですがざっくり一次試験の合格水準をお示しします。
(参考です。合格水準を保証するものではありませんので念のため・・・)
・ライティングは内容・構成・語彙・文法の4項目(各4点満点)合計で65%前後
・リスニングは全体を通じ75%程度
分野ごとの得意・不得意もあると思いますので、取れるところで上積みするというのが基本的な作戦です。
そのためには早いうちから出題形式にそって練習しておきましょう。
合格率
残念ながら、公式には英検準1級の合格率は公表されなくなってしまいました。
古いデータでは、1次試験の合格率が15%程度、2次試験は85%程度というのが目安です。
おそらくここから大きくは外れていないでしょう。
英検準1級の出題傾向
ここでは英検準1級の過去問を参考に出題傾向をみていきます。
まずは1次試験。
先ほどの図のとおりですが、大きくは
- 語彙・文法問題
- 読解
- ライティング
- リスニング
の4つに分かれています。
語彙・文法問題
問題数が一番多いところです。
また、2級と比べても急に英単語のレベルが難化するため、帰国子女でも手を焼くという話を聞きますね。
とはいえパターン化された問題が多いのでしっかり練習して得点源にしましょう。
過去問を使った反復練習がもっとも効果的なパートです。
読解
リーディングは長文が5つ。
最初の2つは空欄に適切な語句を補う問題で、あとの3つは英文の内容に関する質問に答えるものです。
受験でよく見るような形式なのでとっつきやすいと思います。出題される文章は説明文やeメールが多いですね。
話題はバリエーションに富んでいて、学校や仕事の話から歴史、自然科学、医療など多岐にわたります。
とはいうものの、あまり専門的な単語は出ません。
むしろ話の流れや論理展開をきちんと追えるようにしておくのが先決。
ライティング
主に社会生活に関するお題が与えられて、それに対する意見を書くという形式です。
2級と比べてボリュームが増え、120~150語の英文を書く必要があります。
英語のライティングには一定の「型」がありますので、まずはそれを覚えるのが高得点をとる近道です。
慣れてしまえば時間をかけずに回答できるようになりますよ。
リスニング
全部で29問。
はじめの12問は2人の会話に関する質問に答えるものです。TOEICのPart3に似た感じですね。
続いて、説明文やアナウンスなどの一部を聞き、内容に関する質問に答えるというもの。
1つの問題文につき2問ずつ、これが6セットで合計12問あります。
細かいところにも気を配る必要があるので、メモを取るようにしましょう。
最後はReal-life形式のリスニング。問題文にシチュエーションが書いてあります。
それを踏まえて問題文が読まれるので、内容にふさわしい答えを選ぶという形式。これはTOEICにはないパターンですね。
自分の生活にかかわる情報をきちんと受け取ることができるかどうか?というのが出題のテーマです。これが5問あります。
2次試験(スピーキング)
続いて2次試験ですが、形式は決まっていますのでご安心を。
(画像出典:https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_p1/detail.html)
英検準1級の面接でキモとなるのは、2分間のナレーションです。
ちょうど2分にする必要はないので与えられたカードの内容に沿った話をすることにフォーカスしましょう。
発音もさることながら、むしろ英語らしいイントネーション(抑揚)のつけ方や、単語のアクセントを正しく使うことを重視するほうがいいでしょう。
また、面接官の質問がわからなければ訊き返す勇気も必要。
あと、受験した人の経験談を聞くと、「面接官の英語が聴き取りづらかった」なんて話もあったりするので・・・。
英検準1級取得のメリット
中学生・高校生にとって
中学生で英検準1級を取るのは、おそらくほとんどが海外経験者でしょう。
帰国子女入試を見据えるのであれば、英検準1級はむしろ「取っていて当たり前」になりつつあります。
従って、現地校出身者はもちろんのこと、日本人学校出身者も差別化のために狙うべきターゲットです。
一方、高校生は大学受験を有利に運ぶ上でも英検準1級取得が非常に役立ちます。
特に私立大学の一部では通常の試験に替えて英検などの外部試験スコアを採用するところが増えてきています。
もっとも顕著な例は早稲田大学の国際教養学部。
2018年入試から、英検もしくはTOEFLの級・得点に応じて英語の点数を加算する方式になっています。
(参考:https://www.waseda.jp/inst/admission/news/2016/05/25/4451/)
英検準1級取得者は100点満点中、10点を確保したことになります。
英検やTOEFLのスコアを出さなくても出願じたいは可能です。
ただ、他の科目も合計した満点は200点ですから、英語が得意な受験生であればやらない手はありません。
また、英検準1級で一定のスコアが確保できるのであれば、受験勉強全体に占める英語の負担を軽くすることも可能なので、戦略として一考に値します。
大学生・社会人にとって
英検準1級は大学生や社会人にとっても極めて有用な資格と言えます。
スピーキングやライティングも含めた4技能を測定する試験で、比較的受験しやすいのが英検の特徴。
TOEICで高得点を狙う足掛かりに使うというのもありですね。
少し古いですが日本でTOEICを主催する国際ビジネスコミュニケーション協会が2010年に英検取得者とTOEICのスコアを比較した資料があります。
これによると、英検準1級取得者の平均TOEICスコアは732点。そのプラスマイナス100点くらいがボリュームゾーンです。
TOEICで730点というのは、多くの企業が国際部門に勤務する社員に求めるレベル。
英検準1級はほぼそのレベルに相当するといえますし、4技能を駆使しているという点ではむしろTOEICよりも技能の証明としては有用かもしれません。
※TOEICにもSpeaking/Writing テストがあるので、それを受けていればまた別です。
海外を目指すビジネスマンであれば英検準1級レベルがグローバルで活躍するための登竜門と言えるでしょう。
英検準1級合格のための勉強法とおススメの教材
英検準1級に合格するためには何をどのくらい勉強したらいいのでしょうか?
結論からいうと、基本は過去問をベースとしたトレーニングが一番。
ただし、もともと英語が得意な人を除いては、このあたりから独学だけではしんどくなってきます。
特に社会人になってから英語を再度勉強しなおした人は、忙しい中で英語そのものの理解をしっかりと固めるためにオンライン教材を併用するのがベストです。
※現在の自分の英語力で準1級に到達できそうかわからなければ、英検の公式HPにあるレベル診断を活用しましょう。
なお、英検準1級に合格するまでにかかる時間は高校レベルの基礎力がある人なら100時間程度の学習で十分。
1日1時間程度の勉強でも3か月あれば間に合いますね。
高校までの英語力に不安のある人は、キャッチアップのためにあと50時間から100時間をみておきましょう。
おススメ参考書・過去問
英検準1級合格を狙うのであれば、まずは語彙と文法を仕上げましょう。
幸い、英検準1級でよく出る単語や熟語、会話表現などはほぼ決まっています。
ここを集中して仕上げることで得点源の確保と回答時間の短縮を狙うのが定石です。
英検準1級の問題集は本屋さんにいけば死ぬほどいっぱい置いてあります。
逆に多すぎてどれを選んでいいか分からなくなると思いますが、そういうときは「王道」をいくのが一番。
私がおススメしたい「王道」はこちら、旺文社のシリーズです。
【予想問題ドリル】
【過去6回全問題集】
語彙に不安がある人は、出る順パス単も併せて購入するといいですよ。
【出る順パス単】
一次試験はリスニング、ライティングもしっかり練習しておかないと本番であわてることになりかねません。
オンライン派の方には、同じ旺文社の教材を一気にまとめて使うことのできる「英検ネットドリル」も便利です。
上記の3冊がすべてまとまっていることに加え、ネット上で学習できるので場所も時間も選びませんし、重たい本を持ち運ぶ必要もなし。
特にいいのが、リスニングの勉強もすぐにできることです。
英語でリスニングの勉強をするときに、いちいち参考書からCDを取り出して聞くのって面倒じゃないですか?
それに、家以外の場所ではまったくリスニングの勉強ができないというのも不便といえば不便。
その点、英検ネットドリルはイヤホンさえあればスマホでもリスニングの問題を聞いて練習できます。
また、単語や熟語の意味もワンクリックで教えてくれたり、間違えた問題だけを復習できる機能もついていて、英検に特化するという意味では非常に効率的なツールです。
価格は13,200円(税込)。
紙の参考書をそろえるよりもお値段は高いですが、こうしたサポート機能が充実していることからすれば気にする必要もないレベルでしょう。
1年間の期限つきですが、利用者の90%が合格しているということからもその効果のほどがわかります。
旺文社の英検対策問題集とCDがひとつに【旺文社 英検ネットドリル】
英検準1級に合格するための勉強方法
上の段落でもお伝えしたとおり、まずはとにかくボキャブラリーの強化。
回答時間の短縮も、読解力アップもここからなので、地道な努力が必要です。
リスニングは細く長く練習を続けること。筋トレと同じだと思ってください。
準1級くらいになってくるとスピードもそこそこ速いですし、何せ1回しか聞けません。
もし、どうしても正答率が上がらないようなら、ひとつレベルを落として2級に戻る勇気も必要です。
ライティングはとにかく「型」をマスターすること。
英作文ですら苦労したのに、100語も書けないよ・・・と思ってしまうかもしれませんが、基本となるフォーマットさえ身に着ければそれだけで2,3割は語数が埋まってしまいます。
残りを自分の言葉で書けばいいので、実はそこまで負担ではありません。
意外とみんなライティングは苦手意識が頭から離れないので、ライバルに差をつけるならここです。
基礎力に不安のある人は、オンライン教材の併用を!
英検準1級を受験するのに、いきなり過去問から入って力ワザで何とかできるのはある程度の
基礎力がある人に限られます。
ですので、
- 久しぶりに英語の勉強を始めた方(特に社会人の方)
- 高校レベルの英語があやふやなので多少お金と時間をかけてもきちんとやりたい!という方
には、問題集にあたる前にオンライン教材の併用をおススメしたいと思います。
なぜオンラインにこだわるかというと、ひとつは通学時間がもったいないから。
その時間を使って英単語でも覚えたほうがよっぽど効率がいいですよね。
それに、普通の塾や英会話学校より断然安いです。
さすがに独学よりはお金がかかりますが、今は月額1,000円程度でフルラインナップの講義を聞けるところがたくさんありますのでコストパフォーマンスは高いです。
それは何かというと、オンライン学習ではたいてい講義動画を1.5倍~2倍速で聞くことができるという点。
特に時間のない社会人の方には絶対に外せないポイントです。
実際やってみるとわかりますが、1.5倍くらいなら全然違和感なく講義を聞けますし、それで理解度が落ちることなんてまったくありません。
まさかスクールで先生に「急いでるんで、今の倍速でしゃべってください」とは言えませんよね笑。
このメリットは絶対に享受すべきです。
英検準1級対策におススメのツール
オンラインで英検準1級レベルまでの教材が用意されているだけでなく、基礎から順を追って勉強できるのはリクルートが運営しているスタディサプリ ENGLISHです。
スタディサプリENGLISHでは、先ほど挙げたオンライン教材の利点がすべて享受できるというのがおすすめのポイント。
まず、問題集のところで紹介した「英検ネットドリル」同様、Web上でいつでもどこでも学習が可能。
スタディサプリENGLISHの場合は月額会費制(月2,178円・税込)のため、入会している間は制限なく勉強することができます。
自分に合うか試してみたいという方には1週間の無料体験もついています。
英検に有効なのは「新日常英会話コース」ですのでお間違えなく。
ご興味がある方はまずこちらからのぞいてみてくださいね。
次に講義動画のスピード。
スタディサプリENGLISHでは講義のスピードを細かく調整できます。
PCなら1倍、1.4倍、2倍の3段階、スマホやタブレットは0.8倍、1倍、1.25倍、1.5倍、2倍の5段階が選べるので、忙しい人にはありがたいサービスです。
テキストはネット上からダウンロード可能なのですが、これは永久保存可能。しかも無料。
ホントにもらっちゃっていいの?というくらいよくまとまっている教材なので、のちの勉強のためにも必ずダウンロードしておきましょう。
最後に、スタディサプリENGLISHでは基礎の基礎から英検準1級レベルまで7段階にレベルが設定されており、自分に合ったところから学習をスタートできるのがポイント。
基礎力に不安のある人は理解できるレベルまでさかのぼって復習することができるので、ムリなくレベルアップすることができます。
スタディサプリENGLISHを使って「読む・聞く・書く・話す」という4技能を英検準1級合格レベルまで高めつつ、過去問や参考書で試験に特化した勉強をするのが合格への早道です。
まとめ
英語の勉強を続けるうえで、資格取得はモチベーション維持の有効な手段です。
また、学生には受験での優遇措置という具体的なメリットもあるので、英検は可能な限りもっておいて損はありません。
特に英検準1級は大学受験などで具体的なメリットに直結することや、4技能を本格的に駆使できることの証明にもなるので、社会人にとってもおススメの資格です。
ぜひ英検をペースメーカーに英語力の底上げをしてみてくださいね。
この記事がみなさんの英検準1級合格の助けになれば幸いです!
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